認証(ログインシステム)— 「あなたは誰?」を確かめる

概要 — まず全体をつかむ

初級では認証を「会員証の本人確認」と捉えました。中級では、状態の持ち方・パスワード保管・委任を見ます。

詳細 — 1段階ずつ追う

これは何をする係?

ログイン後の「本人である状態」をどう持つかで、大きく2方式あります。

  • セッション方式 — サーバがセッションIDを発行し、状態はサーバ側で保持。IDはCookieで持つ
  • トークン方式(JWTなど) — 署名付きのトークンを発行し、状態はトークン自身に載せる(サーバはステートレスにしやすい)
アニメーション『JWTの構造』を開く
JWTの構造 — ドット(.)で3つに分かれる1本のトークン xxxxx . yyyyy . zzzzz. 区切り. 区切りxxxxx ヘッダ署名の方式など{ "alg": "HS256", "typ": "JWT"}yyyyy ペイロード(クレーム)載せたいデータ{ "sub": "user-123", "name": "Taro", "exp": 1699999999}zzzzz 署名改ざん検知の要HMAC-SHA256( base64(ヘッダ)+"." +base64(ペイロード), 秘密鍵)署名で「改ざん」は検知できる。ただし中身は誰でも読める(Base64は暗号ではない)ので、パスワード等の秘密情報は入れない。

登場人物メモ:

  • ※1 ソルト+ストレッチング — ハッシュに個別のランダム値を足し、反復して重くする
  • ※2 MFA — 知識(パスワード)+所持(スマホ)+生体、から複数を要求
この部分をもっと深く(上級

パスワードそのものの保管(ソルト・ストレッチング・Argon2 など)の詳細は、パスワードはどう守られているのかハッシュ を参照。ここからはログイン後の「本人である状態」の管理を深掘りします。

「ログイン中」を支えるセッションは、発行・保持・失効の各所に勘所があります。

  • 推測不能なID発行 — セッションIDは CSPRNG(暗号論的に安全な乱数)で十分な長さにする。連番や時刻由来は厳禁
  • サーバ側ストア — 状態はサーバ側(Redis 等)に持ち、Cookie にはIDだけを載せる。中身をクライアントに晒さない
  • 固定化対策 — ログイン成功の瞬間にセッションIDを再発行する(攻撃者が用意したIDを使わせるセッション固定攻撃を無効化)
  • 二重の有効期限 — 無操作での失効(アイドルタイムアウト)と、発行からの上限(絶対タイムアウト)を併用する
  • 即時失効 — サーバ側ストアを消せば、ログアウトや「全端末からサインアウト」が即座に効く(ステートレスなトークン方式にはない強み)
  • Cookie属性 — HttpOnly(ページ内JSから隔離)/Secure(暗号化経路でのみ送出)/SameSite(別サイト起点の自動送信を抑止しCSRF対策)
やさしく言うと(初級

会員証を見せて本人確認するのと同じ。多くは ID(メール等)+パスワード(※1 合言葉) で確かめます。合っていれば「ログイン中」の印(※2 セッション)を渡し、以降はその印で本人と判断します。

登場人物メモ:

  • ※1 パスワード — 本人だけが知っている合言葉
  • ※2 セッション — 「ログイン中」を示す印。多くは Cookie に保存される

仕事の流れ

  1. ID/パスワードで認証(パスワードはソルト+ハッシュで照合)
  2. 成功したら セッションID(Cookie)または トークン(JWT) を発行
  3. 以降のリクエストは、Cookie またはヘッダのトークンで検証
  4. 重要操作では MFA を追加で要求することも
アニメーション『多要素認証の3要素(知識・所持・生体)』を開く
多要素認証(MFA)の3要素「知っている」「持っている」「本人の身体」——種類の違う証拠🔑知識Something you knowパスワードPIN秘密の質問📱所持Something you haveスマホ(ワンタイムコード)セキュリティキーICカード🧬生体Something you are指紋虹彩異なるカテゴリを2つ以上 組み合わせると強い同じカテゴリを2つ重ねても弱い(例:パスワード+秘密の質問=どちらも「知識」)。知識+所持のように“種類の違う”証拠を混ぜると、片方が漏れても突破されにくい。例:🔑 知識(パスワード)+ 📱 所持(スマホのコード)
この部分をもっと深く(上級
  1. 署名検証 — JWTは署名(HMAC/RSA/ECDSA)を必ず検証。alg固定、鍵ID(kid)で鍵を選ぶ
  2. 鍵ローテーション — 署名鍵を定期更新。JWKSで公開鍵を配る
  3. 失効の難しさ — ステートレスなトークンは取り消しにくい。短命化+リフレッシュトークン、失効リストで補う
  4. OAuth 2.0(認可コード+PKCE) — フロントに秘密を置かず、コードを短命に交換。PKCEで横取りを防ぐ
  5. OIDC — OAuthの上に「本人確認(IDトークン)」を乗せる
やさしく言うと(初級
  1. ID とパスワードを入力する
  2. サーバが、保存してある情報と突き合わせる(照合)
  3. 合っていれば「ログイン中」の印(セッション)を発行して渡す
  4. 以降のアクセスは、その印で「本人だ」と判断する

方式と委任

  • セッション vs トークン — 取り消しやすさ(セッション)/スケールしやすさ(トークン)のトレードオフ
  • パスワード保管 — 平文厳禁。ソルト+計算コストの高いハッシュ(bcrypt/argon2 等)
  • OAuth 2.0 / OIDC — アクセスの委任(OAuth)+本人確認(OIDC)。SNSログインの正体
  • パスワードレス — パスキー(生体+端末鍵)などフィッシングに強い方式へ
アニメーション『OAuth(パスワードを渡さない委任)』を開く
利用者(ブラウザ)アプリ認可サーバ
  • 利用者(ブラウザ)アプリに自分のデータへのアクセスを許可したい人
  • アプリ利用者のデータを使いたいクライアント。パスワードは受け取らない
  • 認可サーバ本人確認と同意を担い、コードやトークンを発行する側(例: Google)
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この部分をもっと深く(上級
  • WebAuthn/FIDO2(パスキー) — 公開鍵のチャレンジ-レスポンス。端末が秘密鍵を持ち、署名はオリジンに紐づく
  • フィッシング耐性 — 署名が正規サイト向けなので、偽サイトでは通らない
  • デバイスバウンド vs 同期パスキー — 鍵が端末外に出ない方式(デバイスバウンド。耐タンパ性が高い)と、プロバイダのクラウド経由で端末間同期する方式(同期パスキー。機種変更に強いが鍵が端末外に出る=可用性と耐タンパ性のトレードオフ)
  • 多要素の質 — 「所持(端末)+生体」で、SMSコードより強い
やさしく言うと(初級
  • パスワードはそのまま保存しない — ハッシュ化(元に戻せない形)して保管する
  • 多要素認証(MFA) — パスワードに加えて、スマホの確認コードなど「もう1つ」を要求
  • SNSログイン — 他サービスの認証を借りる(自分でパスワードを預からない)
ハードウェアセキュリティキー
所持による本人確認(パスキー/MFA)

⚠️ うまくいかないとき

  • セッション固定/ハイジャック — 印を盗まれる/固定される(HTTPS・Secure/HttpOnly・再発行で対策)
  • 総当たり/クレデンシャルスタッフィング — 使い回しを突く(レート制限・MFA)
  • フィッシング — 偽サイトで入力させる(パスキーが有効)
この部分をもっと深く(上級
  • alg=none/アルゴリズム混同 — 署名検証の実装ミスで改ざんを通す
  • トークン漏洩・リプレイ — 保存場所(HttpOnly Cookie)と有効期限、バインディング
  • OAuthのリダイレクト詐取 — redirect_uri厳格化、stateでCSRF対策
  • クレデンシャルスタッフィング — 使い回しを突く。レート制限・パスキー・漏洩パスワード照合
やさしく言うと(初級
  • パスワードの使い回し・漏洩 — 他サイトの流出で芋づる式に破られる
  • なりすまし — 印(セッション)を盗まれて本人のふりをされる
  • 総当たり — パスワードを機械的に試される(回数制限で防ぐ)

関連する知識

理解度チェック

そのまま解けます(成績は保存されません)。無料アカウントを作ると、学習の記録と進捗の山登りが始まります。

1. 「他サービスに、必要な範囲だけアクセスを委任する」ための代表的な仕組みは?

2. パスワードのハッシュ保存で、同じパスワードでも人ごとに違うハッシュにするために足すものは?

3. トークン方式(JWT)がセッション方式と比べて有利になりやすい点は?

4. 多要素認証(MFA)の「要素」の組み合わせとして正しいのは?

5. パスワード保管の方法として適切なのはどれ?

6. パスワードにソルトを足してからハッシュする狙いは?

7. 認証で「知識・所持・生体」など種類の違う要素を複数要求する仕組みを、英字3文字の略語で答えてください。

8. パスワードのハッシュを繰り返し計算して総当たりを重くする処理を、カタカナで何と呼びますか。