中級ではメディアの表現と圧縮を見ました。上級では、デジタル化の理論的な限界と、圧縮がなぜ効くかへ踏み込みます。数の表現(2の補数・IEEE 754)や文字の深部(正規化・書記素)は 2進数とデータ が担当します。
上級の解説は準備中のため、上級の内容を表示しています。
概要 — まず全体をつかむ
詳細 — 1段階ずつ追う
デジタル化の理論
連続した現実を有限のビットに落とすとき、2つの軸で情報を捨てています。
- 標本化(時間・空間の離散化) — どれだけ細かく測るか。標本化定理により、元信号の最高周波数の2倍を超える周波数で測れば波形を復元できる。足りないとエイリアシング(折り返し)が起きる
- 量子化(値の離散化) — 各点を何段階で表すか。段階が粗いほど量子化ノイズが乗る。音の16bit/24bit、画像の色深度(bit/ch)がこれにあたる
「どこまで細かく・何段階で」を上げるほど原信号に近づきますが、そのぶんデータ量が増えます。
アニメーション『音のデジタル化(標本化と量子化)』を開く
各メディアの深部
- 画像 — 色は色空間(sRGB・Adobe RGBなど)で定義され、1チャンネルの段階数が色深度。輝度と色差に分け色差を間引くクロマサブサンプリング(4:2:0など)は非可逆圧縮の常套
- 音 — 音質は「標本化周波数 × 量子化ビット数 × チャンネル数」で決まる。1秒あたりのデータ量がビットレートで、可変(VBR)/固定(CBR)がある
- 動画 — フレーム内圧縮に加え、前後フレームの差分だけを持つフレーム間予測でデータ量を大きく削る。コンテナ(MP4)とコーデック(H.264/H.265)は別レイヤ
圧縮の理論
- 可逆圧縮の下限 — シャノンの情報理論が示すエントロピーが理論的な限界。エントロピー符号化(ハフマン・算術符号)で出現頻度の偏りを、辞書式(LZ系)でくり返しを削る。偏りのないデータはそれ以上縮まない
- 非可逆圧縮 — 人の知覚モデルを使い、気づきにくい成分を捨てる。周波数領域へ変換(JPEGのDCT、音の心理音響モデル)してから、細かい成分を粗く量子化するのが定石
- トレードオフ — 圧縮率・品質・処理コストは三つ巴。用途(保存/配信/編集)で最適点が変わる
アニメーション『非可逆圧縮の定石(変換→量子化→符号化)』を開く
⚠️ 深部の落とし穴
- 再圧縮による劣化 — 非可逆で保存したものを再度非可逆で保存すると劣化が累積する(世代劣化)
- エイリアシング — 標本化周波数が不足すると、元にない周波数の偽信号が現れる
- 形式と用途の不一致 — 写真をPNGで肥大化、線画をJPEGでにじませる、など逆効果な選択
- CRCと改ざん — CRCは誤り検出であって改ざん防止ではない(それは暗号のハッシュ/署名)
関連する知識
理解度チェック
そのまま解けます(成績は保存されません)。無料アカウントを作ると、学習の記録と進捗の山登りが始まります。
問1. 絵文字1個が「見た目1文字なのにバイト数や文字数が食い違う」主因は?
問2. JPEGが色の情報を明るさより粗く記録できるのは、人の視覚のどんな性質を利用しているから?
問3. 0.1 + 0.2 が 0.30000000000000004 になることがあるのは?
問4. 標本化定理(サンプリング定理)が示すのはどれ?
問5. 標本化周波数が不足したときに、元にない周波数の偽信号が現れる現象はどれ?
問6. 可逆圧縮で「これ以上は縮められない」理論的な下限を与えるのはどれ?
問7. MP4(コンテナ)とH.264(コーデック)の関係として正しいのは?
問8. 非可逆で保存した画像を、さらに非可逆で再保存すると起きることは?
問9. 画像を輝度と色差に分け、視覚が鈍い色差のほうを間引いてデータを減らす手法を、カタカナで答えてください。
問10. JPEGが画像を周波数領域へ変換するのに使う変換を、英字3文字で答えてください。