家の中の機器はみな、外には出ない家の中だけの住所を持っています。外に出るときだけ、ルーターが1つの公開住所に付け替えます。この付け替えがNATです。
概要 — まず全体をつかむ
詳細 — 1段階ずつ追う
これは何をする係?
家の中のスマホ・PC・テレビは、それぞれプライベートIP※1(家の中だけの住所)を持っています。でも、そのままでは外の世界に出られません。
外に出るときは、ルーターが1つの公開IP※2(世界に通じる住所)に付け替えます。これがNAT※3です。家族みんなが、1つの表札を共有して外とやり取りするイメージです。
登場人物メモ:
- ※1 プライベートIP — 家の中だけで通じる住所(192.168.x.x など)。外には出ない
- ※2 公開IP(グローバルIP) — 世界に通じる住所。回線に1つ割り当てられる
- ※3 NAT — 家の中の住所を、外向けの公開住所に変換する仕組み
この部分をもっと深く(中級)
家庭用ルーターが実際に行うのは、単なるIP変換ではなくNAPT※1(IPマスカレード)です。IPアドレスとポート番号の組で通信を区別し、複数機器を1つの公開IPに多重化します。
- 各機器の「プライベートIP+ポート」を、「公開IP+別のポート」に付け替える
- どの通信をどの機器へ戻すかを、変換表に記録しておく
- だから公開IPが1つでも、家族の通信が混ざらずに並行できる
登場人物メモ:
- ※1 NAPT/IPマスカレード — IPとポートの組で複数機器を1つの公開IPに束ねる方式
- ※2 ウェルノウンポート — 用途が決まった若い番号(80=HTTP、443=HTTPS など)
なぜ必要?
理由は、世界の住所(IPv4)が足りないからです。
- インターネットの住所(IPv4)は数に限りがあり、機器全部に配れない
- そこで家の中は使い回しの住所(プライベートIP)で済ませる
- 外向けには、回線の公開IPを家族で共有する
- 誰宛の返事かは、ルーターが変換表を見て正しい機器へ返す
こうして、限りある住所を無駄なく使い回しています。
この部分をもっと深く(中級)
- 内側の機器が、外のサーバへ通信を始める(プライベートIP+ポート)
- ルーターが送信元を公開IP+割り当てたポートに書き換え、変換表に控える
- サーバは公開IP+そのポート宛に返事を返す
- ルーターは変換表を照合し、正しい内側の機器へ戻す
アニメーション『NAT(プライベートIPを公開IPに変換)』を開く
ポート=部屋番号
住所(IPアドレス)が「建物」なら、ポート※4は「その中の部屋番号」です。
- 同じ機器でも、Web宛・メール宛などをポートで見分ける
- ルーターは「どの機器の・どのアプリ宛か」を、住所とポートの組で管理する
- だから1つの公開IPでも、家族の通信がごちゃ混ぜにならない
登場人物メモ:
- ※4 ポート — 同じ機器の中の窓口番号。どのアプリ宛かを表す
アニメーション『NAT(プライベートIPを公開IPに変換)』を開く
この部分をもっと深く(中級)
ポート番号は0〜65535の範囲で、「同じ機器の中のどの窓口宛か」を表します。
- ウェルノウンポート(0〜1023)— 用途が固定。80=HTTP、443=HTTPS、25=メールなど
- 送信元側は、空いている大きな番号を一時的に使う(エフェメラルポート)
- 「IP=建物、ポート=部屋」で、通信は必ずIP+ポートの組で相手を指す
アニメーション『IPアドレスとポート番号』を開く
内側から始めた通信は戻れるが、外からは入れない——これがNATの重要な性質です。変換表は内側発の通信で作られるため、外部から突然来た通信は戻り先が分からず、原則届きません。この「外から入れない」性質が、結果として簡易な防御にもなり、VPC のプライベート側やNATゲートウェイの設計につながります。
外から特定機器へ通したいときは、ポートフォワーディングを使います。「この公開ポート宛は、この内部機器のこのポートへ」と、変換表に固定の穴を開けて通す設定です。
一往復を通しで追うと、変換表がどこで作られ、どこで逆引きされるかが見えます。
アニメーション『NATの変換(内→外→戻り)』を開く
- 内部端末 — 家の中の機器。プライベートIP(192.168.x)で通信を始める側
- ルータ(変換表) — 内部アドレスと公開IP:ポートの対応を変換表で管理し、書き換えと復元を担う
- 外部サーバ — 外側の相手。内部端末の存在は知らず、公開IPだけを見ている
⚠️ うまくいかないとき
- 外から入れない — NATは「中から始めた通信」しか通さない。外からの呼び出しは基本届かない
- 二重NAT — ルーターが2段になり、変換が二重で通信不良になる
- 住所の重複 — 家の中の住所を配り間違えると、機器同士がぶつかる
理解度チェック
そのまま解けます(成績は保存されません)。無料アカウントを作ると、学習の記録と進捗の山登りが始まります。
問1. ポート番号は何を表す?
問2. NATを一言でいうと?
問3. 本文でいう「プライベートIP」の説明として正しいのは?
問4. 本文によれば、NATで公開IPを家族で共有する根本の理由は?
問5. 本文が挙げるNATの重要な性質はどれ?
問6. 本文が「うまくいかないとき」に挙げる住所の重複とは?
問7. 家の中だけで通じ、外には出ない住所を何と呼ぶか答えてください。
問8. 誰宛の返事かを見分けて正しい機器へ返すために、ルーターが持っている表を何と呼ぶか答えてください。