ネットワークの全体図 — 登場する機器を先に押さえる

概要 — まず全体をつかむ

初級・中級では機器を1つずつ、そして「層」の存在に触れました。上級では、層モデルとカプセル化で全体を捉え直します。

詳細 — 1段階ずつ追う

機器を「層」で捉え直す

アニメーション『ネットワークに登場する機器の全体図』を開く
宅内機器(統合されがち)インターネットこの先、相手のサーバへ(Webの流れへ ▶)電磁波電磁波端末(スマホ・PC)通信の出発点NIC信号に変換有線LANケーブル・光無線(Wi-Fi)電磁波ルーターゲートウェイ(GW)ONU(光終端)外への有線ルート電柱→局舎モバイル(4G・5G)電磁波→基地局→キャリア網各機器をクリックすると、その解説へ移動します

ネットワークは役割ごとのの積み重ねです。代表的な整理が OSI 7層 と、実際に使われる TCP/IP 4層。各機器は「どの層で働くか」で位置づけられます。

  • 物理層 — 信号(ケーブル・電波・NIC)
  • L2 データリンク — MACアドレスで同一ネットワーク内を転送(スイッチ・ARP)
  • L3 ネットワーク — IPアドレスで異なるネット間を中継(ルーター)
  • L4 トランスポート — ポートとTCP/UDP(L4ロードバランサ・ファイアウォール)
  • L7 アプリケーション — HTTP・DNSなど(L7LB・WAF)
やさしく言うと(中級
アニメーション『ネットワークに登場する機器の全体図』を開く
宅内機器(統合されがち)インターネットこの先、相手のサーバへ(Webの流れへ ▶)電磁波電磁波端末(スマホ・PC)通信の出発点NIC信号に変換有線LANケーブル・光無線(Wi-Fi)電磁波ルーターゲートウェイ(GW)ONU(光終端)外への有線ルート電柱→局舎モバイル(4G・5G)電磁波→基地局→キャリア網各機器をクリックすると、その解説へ移動します

通信では、データをまとめてではなく、小さなパケット(※1)に分けて送ります。各パケットの先頭(ヘッダ)には宛先IPと送信元IPが付き、途中の機器はそれを見て次へ転送します(返信もできる)。分けて送るので、混雑に強く、失った分だけ再送できます。

登場人物メモ:

  • ※1 パケット — 小さく区切られたデータの1単位
  • ※2 IPアドレス — ネット上の住所。宛先の指定に使う

カプセル化 — 包んで送り、開いて受ける

  1. アプリのデータに、TCPがヘッダを付ける(セグメント)
  2. それをIPが包む(パケット。宛先IP)
  3. さらにイーサネットが包む(フレーム。宛先MAC)
  4. 最後にビットとして物理的に送られる
  5. 受信側は、逆順に開いて(非カプセル化)アプリへ渡す

途中の機器は、自分の層のヘッダだけを見て仕事をします。ルーターはIP(L3)まで、スイッチはMAC(L2)まで。

やさしく言うと(中級
  1. 相手の名前(ドメイン)を、DNSで住所(IPアドレス)に変換
  2. データをパケットに分け、宛先IPを付ける
  3. 途中の機器(ルーターなど)が、宛先を見て次の機器へ転送(ホップ)
  4. 相手に届いたら、パケットを組み立て直して元のデータに戻す

「住所を見て、次へ、また次へ」とバケツリレーで運ばれます。

層で考えると切り分けられる

  • L1/L2 — 信号・MACの問題(ケーブル・スイッチ・ARP)
  • L3 — 到達性(pingが通るか、経路・IP設定)
  • L4 — ポート・接続(そのポートが開いているか、ファイアウォール)
  • L7 — 名前解決・アプリ(DNS・証明書・HTTP)

「pingは通るのに名前で繋がらない」=L3はOKでL7(DNS)の問題、のように層で分けると原因の見当がつきます

やさしく言うと(中級

ネットワークは、役割ごとので整理すると見通しがよくなります(この体系では機器ごとに分けていますが、内部ではこう重なっています)。

アニメーション『カプセル化(層ごとに包む)』を開く
下の層へ行くほど、ヘッダで包まれる(入れ子)内側=上の層(アプリ)/外側=下の層(イーサ)。同じデータが層ごとに包み直される。④ イーサ層 / フレーム③ IP層 / パケット② TCP層 / セグメント① アプリ層 / データイーサヘッダIPヘッダTCPヘッダFCS送信:アプリ → TCP → IP → イーサ と下るほど、各層がヘッダで包む(カプセル化)受信:イーサ → IP → TCP → アプリ と上るほど、各層がヘッダをはがす(非カプセル化)
  • 物理/信号 — ケーブル・電波(有線・無線・NIC)
  • 住所と中継 — IPアドレスで宛先を決め、ルーターが中継
  • 相手アプリの特定IPで機器を、ポート番号でアプリ(Webは80/443など)を指定する
  • 約束事 — TCP/IP・HTTPなどの取り決め(プロトコル)

同じ住所と中継の上でも、運び方は2種類あります。

  • TCP — 届いたか確認して再送・順序保証(Web・メールなど確実さ重視)
  • UDP — 確認を省いて速さ優先(通話・動画配信・ゲームなど)
アニメーション『IPアドレスとポート番号』を開く
届いたパケット宛先IP203.0.113.5宛先ポート443宛先IP → 建物宛先ポート443 → この窓口🏢 サーバ(1台)= 1つのIPアドレス203.0.113.580HTTP(Web・平文)443HTTPS(Web・暗号化)25SMTP(メール)22SSH(遠隔操作)同じ窓口でも「運び方」は2種類TCP 確実に届ける(再送・順序保証)UDP 速さ優先(確認を省く:通話・動画)

「家のネット」も「モバイル」も、この積み重ねの上で、途中の道が違うだけです。

⚠️ 層をまたぐ落とし穴

  • MTUの不一致 — L3のIPパケットが経路のMTU(L2フレームで運べる上限)を超え、フラグメント(分割)される。PMTUD失敗だと詰まることも
  • ARPスプーフィング — L2の住所を偽り、通信を横取り
  • NAT越え — L3/L4のアドレス変換が、P2Pなどの通信を妨げる
  • 層の思い込み — 「暗号化(TLS,L7)してるから安全」でも、L3の宛先やタイミングは見える
やさしく言うと(中級
  • 物理層 — ケーブル抜け・電波弱・NIC不良(そもそも信号が届かない)
  • 住所・中継 — IPが取れていない(DHCP)、経路の問題
  • 名前解決 — DNSが引けない(IPで直接なら繋がるのに、名前だと繋がらない)
  • その先 — 相手のサーバ側の問題(ここからはWebの話)

理解度チェック

そのまま解けます(成績は保存されません)。無料アカウントを作ると、学習の記録と進捗の山登りが始まります。

1. 送るデータに、各層でヘッダを順に付けて包んでいく仕組みを何と呼ぶ?

2. WAF(Web Application Firewall)が主に働くのはどの層?

3. スイッチ(L2)とルーター(L3)が「見る住所」の違いは?

4. L4(トランスポート層)で機器が主に見るのはどれ?

5. 「pingは通るのに、名前ではサイトに繋がらない」。最も疑わしいのはどの層の問題?

6. TLS(HTTPSなど)で通信内容を暗号化していても、経路上から見えてしまうものはどれ?

7. 1つのフレームで運べるデータの最大サイズを表す略語を英字3文字で答えてください。

8. L2の住所(MACアドレス)を偽って通信を横取りする攻撃を何と呼ぶ?