ボタンを押してから、画面が返ってくるまで

概要 — まず全体をつかむ

初級では「バケツリレー」で全体をつかみました。中級では、その1往復が HTTP という約束事の上で動くこと、各機械がどんな言葉で会話するかを見ます。

ここではシステム構成の各機械に焦点を当てます。URL入力から画面表示までの通信経路(DNS・TCP・TLS…)の詳細は URLを打ってから表示されるまで を参照してください。

詳細 — 1段階ずつ追う

まず全体を1枚で

アニメーション『1リクエストの流れ(全体図)』を開く
ネットワーク(すべてを載せて・つなぐ土台)🔒 セキュリティオリジン(自分のサーバ群)を守るエッジ=利用者の近く無ければオリジンへ端末(ブラウザ)=フロントCDNエッジ世界中に分散・近い入口(LB/WAF)振り分け・門番フロントサーバ画面配信・SSRバックエンドサーバAPI・処理DBサーバ構造データキャッシュRedis等・高速ストレージサーバ画像・ファイル各ノードをクリックすると、その解説へ移動します

1リクエストとは、HTTPリクエストを送り、HTTPレスポンスを受け取る1往復のこと。図の各ノードは、この往復の「どの区間」を担うかを表します。左のブラウザが起点、右のデータ層が終点です。

この部分をもっと深く(上級
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ネットワーク(すべてを載せて・つなぐ土台)🔒 セキュリティオリジン(自分のサーバ群)を守るエッジ=利用者の近く無ければオリジンへ端末(ブラウザ)=フロントCDNエッジ世界中に分散・近い入口(LB/WAF)振り分け・門番フロントサーバ画面配信・SSRバックエンドサーバAPI・処理DBサーバ構造データキャッシュRedis等・高速ストレージサーバ画像・ファイル各ノードをクリックすると、その解説へ移動します

1リクエストは、責務の違う4つの層を通り抜けます。層で分けて考えると、障害の切り分けもスケールの設計も一気に見通せます。

  • インフラ層(入口) — ロードバランサ・WAF・リバースプロキシ。振り分け・防御・死活監視
  • フロント層 — 画面(HTML/静的資産)の生成と配信
  • バック層(API) — 認証・認可と業務ロジック。「何を返すか」の判断
  • データ層 — DB・キャッシュ・ストレージ。事実の保管と取り出し

各層は「上の層は下の層の中身を知らなくてよい」ように責務の境界で仕切られています。だから1つの層だけを増強・交換できます。

やさしく言うと(初級
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ネットワーク(すべてを載せて・つなぐ土台)🔒 セキュリティオリジン(自分のサーバ群)を守るエッジ=利用者の近く無ければオリジンへ端末(ブラウザ)=フロントCDNエッジ世界中に分散・近い入口(LB/WAF)振り分け・門番フロントサーバ画面配信・SSRバックエンドサーバAPI・処理DBサーバ構造データキャッシュRedis等・高速ストレージサーバ画像・ファイル各ノードをクリックすると、その解説へ移動します

左のあなた(ブラウザ)から出たお願いが、右のデータまで往復して戻ってくる——これが1リクエストの流れです。各マスをクリックすると、その機械の解説へ飛べます(このあと1つずつ作っていきます)。

ポイントは2つの「囲い」:

  • ネットワーク=これらの機械をつなぐ土台。図の線はぜんぶネットワーク。
  • セキュリティ=あなたの手元(端末)以外を、まとめて守る囲い。

リクエストの旅(順番に追う)

  1. 名前解決(DNS ※1)example.com のような名前を、実際の宛先(IPアドレス)に変換する
  2. 接続(TCP+TLS ※2) — 相手と通信路を確立し、HTTPSなら暗号化の鍵を交換する
  3. HTTPリクエスト送信(※3) — メソッド(GET・POSTなど)+パス+ヘッダ(+ボディ)を送る
  4. 静的は CDN(※4) — エッジがキャッシュを持てば即レスポンス(cache hit)。無ければオリジンへ取りに行く(miss)
  5. 入口(LB/リバースプロキシ/WAF ※5) — 空いているサーバへ振り分け、死活監視し、不正リクエストを遮断する
  6. フロント(※6) — 静的配信、または SSR で初期HTMLを生成。以降の中身はAPI経由で取得する
  7. API →バックエンド(※7) — REST/JSON などの形で要求。認証(誰か)・認可(何ができるか)を確認し、業務ロジックを実行する
  8. データ層 — DB(※8・SQLで問い合わせ)/キャッシュ(※9・hitでDB回避)/ストレージ(※10・大きな塊を配信)
  9. HTTPレスポンス(※11) — ステータスコード+ヘッダ+ボディを返す。逆順で戻り、ブラウザが描画する

登場人物メモ(※の説明):

  • ※1 DNS — ドメイン名→IPアドレスの電話帳。最初の一手
  • ※2 TCP/TLS — 順序と到達を保証する通信路(TCP)+暗号化(TLS)。HTTPSは「HTTP over TLS」
  • ※3 HTTPリクエスト — メソッド・パス・ヘッダ・ボディの4点セット
  • ※4 CDN — エッジのキャッシュ。TTLで鮮度を管理し、cache hit/miss で振る舞いが変わる
  • ※5 入口 — ロードバランサ(振り分け・ヘルスチェック)/リバースプロキシ/WAF(アプリ層の防御)
  • ※6 フロント — 静的配信か SSR(サーバ側でHTMLを組み立てる)か
  • ※7 API/バック — REST・GraphQL などの窓口。認証と認可を確認してから処理
  • ※8 DB — SQLで構造データに問い合わせ。インデックスで探索を速くする
  • ※9 キャッシュ — Redis など。読み取りの多い答えを載せる。難所は「無効化(いつ捨てるか)」
  • ※10 ストレージ — オブジェクトストレージ。大きなファイルは署名付きURLで直接配ることも
  • ※11 レスポンス — ステータスコード+ヘッダ+ボディ
この部分をもっと深く(上級

上から順に、それぞれの層で何が起きているかと、深掘り先を示します。

  1. インフラ層 — 入口のロードバランサが空いているサーバへ分散し、ヘルスチェックで異常な台を外す。これが後述の水平スケールの前提になる(→ ロードバランサ)。前段のWAFがアプリ層の攻撃を弾く
  2. フロント層 — 静的配信か、SSR(サーバ側でHTMLを組み立てる)か、CSR(ブラウザ側で組む)かを選ぶ。初期表示速度とSEOに直結する(→ フロントサーバ
  3. バック層 — APIの窓口で認証(誰か)・認可(何をしてよいか)を確かめ、業務ロジックを実行する。サーバを増やせるよう状態を持たない(ステートレス)設計が要(→ APIバックエンドサーバ
  4. データ層 — DBはインデックスで探索を速め、読み取りが増えればレプリケーションで読み書きを分離する(→ DBサーバ)。よく読む答えは手前のキャッシュで受ける(→ キャッシュ)。大きな塊はストレージから直接配る

各機械の内部は上のリンク先で深掘りします。ここで押さえたいのは、どの層に何の責務があり、どこが増やせて、どこが詰まりやすいかという全体の骨格です。

やさしく言うと(初級
  1. あなた(ブラウザ ※1)が「このページください」とお願いを出す
  2. 画像や見た目の部品は、まず近くの CDN(※2) が持っていれば即返す(往復が短くて速い)
  3. データが要るお願いは、入口(※3) が受け取り、空いているサーバへ振り分ける(同時に、あやしいお願いは門番が弾く)
  4. フロントサーバ(※4) が画面の器を用意し、中身を バックエンド(※5) に頼む
  5. バックエンドが「何を返すか」を考え、必要なデータを DBサーバ(※6) に取りに行く
  6. よく使うデータは キャッシュ(※7) にあれば、DBまで行かずに即返す(近道)
  7. 画像・動画など大きな塊は ストレージサーバ(※8) から出す
  8. 集めたデータでバックが答えを組み立て、フロント経由であなたに返る → 画面が表示される

登場人物メモ(※の説明):

  • ※1 ブラウザ — あなたの手元の画面。お願いを出し、返ってきたものを表示する。この図では「フロント(前面)」の役
  • ※2 CDN — 世界中に分散した“利用者の近くの倉庫”。変わらないもの(画像・CSS・JS)を配る係。無ければオリジンに取りに行く
  • ※3 入口(ロードバランサ/WAF) — 混雑を捌く受付(振り分け)+あやしいお願いを弾く門番
  • ※4 フロントサーバ — 画面(見た目)を組み立てて返す係
  • ※5 バックエンドサーバ — 「何を返すか」を考える頭脳。判断・計算・データ出し入れの指示
  • ※6 DBサーバ — 表の形に整理されたデータの保管係。探す・並べるが得意
  • ※7 キャッシュ — よく使う答えを手元に置く“メモ”。DBより速い(Redisなど)
  • ※8 ストレージサーバ — 画像・動画・ファイルなど大きな塊の倉庫

速くする・強くするための工夫

  • CDN — エッジキャッシュで静的配信をオリジンから剥がす。効果は cache hit 率で決まる
  • キャッシュ(Redis等) — 読み取りの重い答えを手元に。整合性(古いデータ=stale)と無効化がトレードオフ
  • ロードバランサ — ラウンドロビン等で分散し、ヘルスチェックで異常サーバを外す。水平スケールの前提
  • 非同期(キュー・ジョブ) — 重い処理はレスポンスと切り離し、後でジョブとして実行(メール送信・集計など)
この部分をもっと深く(上級

利用者が増えても倒れないための、システム側の3本柱です。

  • キャッシュ階層 — 速さは「どれだけ手前で答えを返せるか」で決まる。CDNエッジ → 共有キャッシュ(Redis等) → DB内のバッファと、手前ほど速く安い。難所は無効化——いつ古い答え(stale)を捨てるか。手前に置くほど鮮度管理が難しくなる(→ キャッシュCDN
  • 非同期(キュー・ジョブ) — メール送信・集計・画像変換など重い処理は、レスポンスと切り離してキューに積み、後でジョブとして実行する。利用者は待たされず、突発的な負荷はキューが吸収する(→ 非同期処理
  • 水平スケール — サーバ1台を強くする(垂直)のではなく、同じ役割の台を並べて入口で分散する。前提は各サーバがステートレスであること——状態を持たないから、どの台に振られても同じ結果になり、増減が自由になる

この3つはいずれも「1本道を太くする」のではなく「道を増やす/手前で折り返す/後回しにする」という発想です。

やさしく言うと(初級

基本は「ブラウザ→入口→フロント→バック→DB」の一本道。そこに、快適さのための脇役が足されます。

  • CDN — “配信”を速く。近くの倉庫から静的なものを返す
  • キャッシュ — “処理”を速く。よく使う答えを手元に置き、DBまで行かない
  • 入口(ロードバランサ) — 混雑に強く。同時に来たお願いを複数のサーバへ振り分ける

CDNとキャッシュは名前が似ていますが、CDN=配信の近道/キャッシュ=処理の近道、と向きが違います。

⚠️ うまくいかないとき

ステータスコードは「どの層で・何が起きたか」を読む手がかりです。

  • 2xx 成功 — 200 OK など
  • 3xx リダイレクト — 301(恒久)・302(一時)
  • 4xx 依頼側の問題 — 400(不正)・401(未認証)・403(権限なし)・404(無い)・429(出しすぎ)
  • 5xx 応答側の問題 — 500(内部エラー)・502(不正ゲートウェイ)・503(混雑)・504(タイムアウト)

遅いときのリトライ(再送)は、処理が二重に走らないか——冪等性(同じ操作を何度やっても結果が同じか)に注意します。

この部分をもっと深く(上級

規模が大きい系では、1点の不調が連鎖して広がります。層で考えると連鎖の断ち方が見えます。

  • カスケード障害 — 遅い依存先で滞留したリクエストがスレッド・接続プールを食い潰し、入口を共有する無関係な機能まで巻き込む。タイムアウト・サーキットブレーカ・隔離(bulkhead)で連鎖を断つ
  • リトライストーム — 障害時の一斉再送がさらに負荷を積み増す。指数バックオフと、二重実行を防ぐ冪等性の設計で抑える
  • 単一障害点(SPOF) — 1台落ちれば全体が止まる箇所。DBやLB自身を冗長化して消す
  • キャッシュ雪崩 — 多数のキャッシュが同時に期限切れし、負荷がDBへ殺到する。期限をばらす・鍵ごとに再生成を1本に絞るなどで防ぐ
  • 層をまたぐ切り分け — 「遅い/落ちた」がどの層で起きたかを、まず入口・フロント・バック・データのどこかに当てるのが調査の第一歩。ネットワーク経路側の切り分けは URLを打ってから表示されるまで を参照
やさしく言うと(初級
  • 混雑 — アクセスが集中。入口が複数サーバに分散するが、それでも溢れると「503(混んでいます)」
  • 見つからない — そのページが無い →「404」
  • 裏で失敗 — サーバの処理でエラー →「500」
  • 遅い — 毎回DBまで行くと遅い → キャッシュ・CDNで近道を作る

どれも「どの機械で起きたか」を知っていると、原因の見当がつくようになります。

理解度チェック

そのまま解けます(成績は保存されません)。無料アカウントを作ると、学習の記録と進捗の山登りが始まります。

1. 「403 Forbidden」が返ってきた。最も近い原因は?

2. HTTPSの「S」が主に担うのは?

3. 「429 Too Many Requests」が返ってきた。最も近い意味は?

4. リクエストの最初の一手であるDNSが担うのはどれ?

5. HTTPリクエストを構成する4点セットとして正しいのは?

6. 遅いときにリクエストを再送(リトライ)する際、まず気をつけるべき性質はどれ?

7. CDNのエッジがキャッシュを持っていて、オリジンへ行かずに即返せた状態を英語2語で何と呼ぶ?

8. サーバ側の予期しない内部エラーを表す、代表的なHTTPステータスコードを3桁の数字で答えよ。

ボタンを押してから、画面が返ってくるまで | Kotowary